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バランスを取る:石油ガス業界における将来に備えた投資計画のための意思決定アナリティクス

このシリーズの最初の記事では、世界の石油天然ガス業界が直面している課題と重要な意思決定についてご紹介しました。この記事では、世界中の消費者に安全で信頼できるエネルギーを供給しながら収益性を維持できるような投資戦略を策定および実行するために、どのようにCopperleafの意思決定分析ソリューションを活用したらよいのかについてご説明します。  

時代遅れの計画手法から脱却する 

石油ガス事業の戦略を成功させるには、賢明で、一貫性があり、機敏な投資計画を立てる必要があります。この業界は、100年にわたり伝統的な計画手法とビジネスモデルを用いて存続してきましたが、この数年間、パンデミック後の需給変動、地政学的混乱によるグローバルな影響、気候変動への対応を求める声の高まりに直面しています。現在、企業は迅速かつ確実に投資計画を見直し、急速に変化する状況に対応していくことが求められています。この場合、数兆ドル規模の数千件のプロジェクトを管理しなければならないため、一般的な経営計画ツールや表計算ソフトでは、このように高度な意思決定や投資の最適化に対応できません。  

新時代の価値を再定義する 

最近のマッキンゼーのレポートでは、世界の化石燃料の需要は2024年から2027年の間にピークに達し、2050年には世界の発電量の80~90%を再生可能エネルギーが占めることになると予測されています。現在、石油ガス業界全体で多くの企業が改革の機会を得ています。多くの企業が、消費者やパートナーが期待する安全で信頼できる手頃な価格のサービスを維持しながら、環境や地域社会に対して新たに定義された長期目標を達成するために、投資ポートフォリオを変革しています。

考慮すべき要素が非常に多いため、投資の選択肢を同じ条件で比べることが難しくなっています。これまで投資の相対的な価値は、財務や信頼性の指標によって判断されてきましたが、現在、環境、社会、ガバナンス(ESG)の新しい要素や、意思決定による評判の影響も考慮しなければなりません。

共通の経済指標に基づいて意思決定を行う上で、この「価値」の概念を組織のビジネスユニット全体に広げ、定着させることが重要です。これにより、企業はエネルギーセキュリティにおいて選択不能に陥るのを回避しながら、成長に向けたポジショニングを行い、利益の最大化を図ることができます。  

変化する世界で計画を最適化および再最適化する 

2020年には世界的なパンデミックにより、エネルギー需要が急激に落ち込みました。ロックダウンの解除や企業活動の再開に伴い、需要が回復する一方で供給が遅れ、価格の高騰や乱高下が生じました。

ウクライナ紛争により、供給や価格の安定性という問題が再び注目を集めました。今年上半期、世界最大の石油ガス関連企業が過去最高益を記録しましたが、景気後退への懸念などから第2四半期末以降はエネルギー価格が下落し、この業界の利益は同じペースを維持できない見込みです。同時に石油ガス業界では、世界中のすべての産業と同様、深刻なサプライチェーンと労働力の問題に直面しています。  

世界のエネルギー情勢はウクライナ紛争の影響を受け、市場の不確実性が高まっています。紛争が始まる前からすでに、エネルギー需要の回復により、複数の商品で供給が限られ、価格の高騰が発生していました。さらに、低炭素エネルギーシステムへの長期的な移行は勢いを増し続け、いくつかの側面で加速しています。 

マッキンゼ 
Global Energy Perspective 2022(グローバルエネルギーの展望2022) 

環境変化の激しい石油ガス業界では、安定した時代に策定された投資計画を、現在および将来の課題に合わせるために調整していくことが求められています。 

予算が15%削減された場合、どう対処したらいいでしょうか。原油価格が大幅に下落したら、どうしたらいいですか。温室効果ガスの削減目標の達成を加速させるには、何を行えばいいでしょうか。  

一貫性のある効果的な方法で投資計画を再最適化することでこれらの問題に対処しようとする場合、手作業や表計算ソフトではなく、より高度なアプローチが必要になります。  

より良い未来を目指して信頼を築く 

世界中の石油ガス関連企業は、自社のビジネスを将来にわたって発展させるためにさまざまな戦略を採用しています。炭素排出を削減・回収するための新しいテクノロジーやイノベーションへの投資、再生可能エネルギーを多く取り入れたポートフォリオの多様化、クリーンかつ効率的に運用するための既存インフラのアップグレードなどが挙げられます。ただし、どの企業もすぐにすべてを実行できる資金やリソースがないため、難しい選択を迫られることになります。

企業内外で厳しい監視の目があるなかで、石油ガス関連企業が政府、投資家、消費者、従業員の信頼を得るためには、自分たちの投資の選択が地域社会や環境、そして利益にどのような影響を及ぼすかを示すことが極めて重要です。

…石油ガス関連企業は、十分な検討を行ったうえで選択をすることが必要です。経営と評判の両面でレジリエンスを高め、低炭素化に向けた変化の追い風に乗るかどうか、またそれをどのように実行していくべきかを検討する必要があります。 

マッキンゼー 
The big choices for oil and gas in navigating the energy transition(エネルギー転換に向けた石油ガス関連企業の大きな選択) 

こうした信頼関係を構築するためには、内部の透明性が重要です。数十年にわたる長期的な目標を持つ企業では、従業員が、自分のプロジェクトがどのように企業戦略を支えているかを理解することが不可欠です。投資計画プロセス全体で統合された意思決定アナリティクスを活用することで、部門間の交渉が減り、価値の測定方法と投資やプロジェクト候補の採否の理由について、明確な共通理解が生まれます。  

この透明性は外部にも及びます。そして、石油ガス関連企業は投資の意思決定が戦略目標の達成にどのように貢献しているか、政府、取締役、投資家、規制当局に示す必要があります。

現実世界で成果を出す 

Copperleaf®意思決定分析ソリューションでは、企業が何百、何千もの競合する投資の選択肢を調査して、それぞれのビジネス戦略全体に対する相対的な貢献度や最適な実行タイミングを判断するための手段を提供しています。   

Copperleafのクライアントは、ビジネス戦略に合わせてカスタマイズされた価値の枠組みを活用して、財務的な機会やリスクとESGの目標を比較検討しています。これらすべての検討事項を1つの経営指標にまとめることで、投資プランナーは、あらゆるプロジェクトや投資でもたらされる価値を客観的、一貫的、かつ現実的な視点で評価できます。   

Copperleafを導入した企業は、投資計画を最適化また再最適化することで、避けられない変化に対応し、資金、人員・資源、タイミング、その他の現実世界の制約を満たしつつ戦略的な成果を実現できます。Copperleafのクライアントは、投資の意思決定が厳格で一貫性のある客観的なプロセスに基づいて行われていることを、社内外の利害関係者に簡単に示すことができ、投資によって戦略的目標が達成されていることを確認できます。  

北米やアジアの複雑なパイプライン管理からヨーロッパの電気・水道事業まで、Copperleafは、意思決定プロセスに独自の価値のコンセプトを組み込み、将来に備えた投資計画を立案できるよう企業を支援しています。このシリーズの最終回となる次回は、Copperleafのクライアントが意思決定分析を活用して変化を乗り切り、財務的、社会的、環境的な目標を達成している事例についてご紹介します。

石油およびガス業界でのCopperleafの仕事についてもっと知りたい方は、当社のウェブサイトにアクセスするか、こちらから今すぐお問い合わせください。